続・家族の揉め事「いえばわかる」の誤解
ども、ぐぐーるです。
昨日の記事を読んでいて、足りないと感じた部分と思いついた事があるので続きです。
まず、経験則ってわかりにくい言葉だった。
経験則っていうのは経験を通して作られた考え方ややり方のことで、「何となく分かる」っていうのがわかり易い。
例えば、家の中にいて、いきなり電気が消える。停電だ。そんな時でも自分がいた位置から家具の場所がだいたいわかる。手探りで少し手を伸ばしたらテーブルのふちに手が触れる。そのふちを触りながら、なぞるように進むとドアにたどり着く。ドアを開いて廊下の壁に触れながら、ゆっくり進んで、そろそろかな、というところでつま先が玄関のへりに当たる。下駄箱の上を手で探ってライトに手が触れる。こういうことは、ある程度、住んだ家ならみんな出来ると思う。
毎日、同じ家で過ごすことで、家具や部屋の配置を記憶している。だから電気が消えても何となく分かる。
これは繰り返しによるもので、これが作業になると繰り返すうちに手順をおぼえて習慣化される。さらに繰り返す中で無駄な作業をまとめたり、やりにくい部分をやりやすくする工夫がされる。
ところが、作業は減って効率化されるが説明は増えてしまう。
「何となく分かる」を言葉にするのは大変
洗濯物を干す作業を例にしてみる。
洗濯機から洗ったものをかごに取り出す。この時点で竿に干すもの、ハンガーを使うもの、洗濯ばさみがいっぱいついてるやつに干すもの、の順番でかごに入れていく。
ベランダのそばまで、カゴとハンガー一式を運ぶ。洗濯ばさみがいっぱいのやつに靴下やらパンツなんかを挟んでいく。靴下は隣り合わせて、パンツは一列になるように。次にハンガーに干すシャツなんかをハンガーに通して重ねておく。竿に干すものを竿にかけて、ハンガーにかけるものをまとめて掴んで、竿に引っ掛ける。最後に洗濯バサミいっぱいのやつを竿にかける。ハンガーをなるべく間隔が均等になるように調節する。
文にするとこうなる。もともとは「洗濯物を干す」という簡単な文だった。それが経験から学んだことを活かして、作業を効率化すると、説明するための言葉はこれだけ増える。これでも細かい部分は省いた。
これが「何となく分かる」を言葉にするのが大変だということ。
さて、これを洗濯機に放り込んで、スイッチを押して、ブザーがなったら、取り出して干す。くらいの感覚のひとに説明しても、すぐに出来るようにはならない。その人の洗濯に対するやり方が全部洗濯ばさみいっぱいのやつに挟んで干すだったら、ハンガーを使う理由を説明を加えないといけないかもしれない。
では洗濯をほとんどしたことがない人に説明するとなったら、もっと大変になる。
自分の当たり前はひとにとってはそうではない
例としてあげた、洗濯のやり方は僕にとっては当たり前だし、簡単になっている。それは何度も繰り返したことで習慣になっているから。
日本人は毎食後、歯磨きをする。これを歯磨きをする文化がない国のひとに説明することを考えてみるとわかるとおもう。自分にとって簡単でも、その習慣がない人に伝えるのはとても大変だ。
自分で作り上げた良いやり方をちゃんと伝えるには自分にとって当たり前になったことを言葉にしないといけないのだが、それはとても手間のかかる作業で、それをすっ飛ばしたコミュニケーションはうまくいかない。
ワカラナイに寄り添う方法
じゃあ「言えばわかる」問題は解決しないのか?の一つの答えを思いついた。
オン・ザ・ジョブ・トレーニングって聞いたことあるかな。これは新人に仕事を教えるときに熟練者が一緒に実際の業務に立ち会いながら教えていく方法である。
これを夫婦でやれば良い。洗濯物を一緒にしながら、これはこうする、これはこうして欲しい。といったことを一緒に行う。教えるひとは手順を進めながら、その時点での注意したいことを説明していける。教えられる側も手を動かしながら教わることで手続き記憶になり覚えやすい。わからないことをその場で聞くことも出来る。さらに一緒にやることで共通の記憶が出来ているので後から話をする時も話が伝わりやすい。また、作業の区切りを伝えておけば、どこからどこまでを手伝ってほしいのか、任せたいのかという指示も明確にできるようになる。
言葉によるコミュニケーションが下手くそな我々がもっとも簡単に解決出来る方法だと思う。
そんな時間ないよって?一度やれば、その先の多くの作業の無駄と喧嘩に費やす時間をへらせるのに?
ただ、一緒にやるときに注意すべきことがある。教える側も教えられる側も一切の否定、批判を捨てること。
一緒にやることのメリットはもう一つある。教える側は相手の出来ないこと、わかりづらいと感じていることを知ることができる。教わる側は相手が物事を説明するのにどんな言葉を使うのかを知ることが出来る。互いを知るのにとてもいい方法だと思う。
とまあ、こんなことを思いつきました。もしよかったら二人の時間を楽しむくらいの気持ちで試してみてはいかがでしょうか。